
川村 吉一
店主
布団屋の一人息子として59年前に生まれました。家族が布団や綿を作る姿を見て育ち、幼少期より「お前が後継ぎ!」と言われていたものです。子供の頃の夢は「小学校の先生」。しかし勉強嫌いで一人息子の責任感か、布団屋を継ぐことを決心したのは高2の時です。
当時布団と言えば綿布団ばかり。羽毛布団なんて贅沢品でした。「良い布団を作れば商売は繁盛する!その為にまずは「布団作り」から!」そんな思いから高校卒業後上京!東京布団技術学院という専門学校に入学しました。
さて高校時代は武道に夢中だった私は、布団屋の息子でありながら、布団作りの手伝い経験など全く無し。針さても触ったこともありませんでした。布団作りに針が必要だなことに気付いたのも入学後です。それから寝ても起きても運針練習。手縫いが出来ない事にははじまらない。ポケットにはいつも針刺しと運針布(手縫い練習用の布)を入れていたことを思い出します。運針布にはいつも血がついておりました。学校は教室に泊り込みで、授業が終われば掃除、夜は教室に布団をひいてそこに就寝。朝から夜寝るまでの「修業」したお陰で、こんな私でも素晴らしい布団が作れるようになりました。
卒業後は、実践の繰り返しで、数年後には「国家一級技能士」の資格も取得することができました。ついつい甘えてしまう両親の指導の下ではなく、有名な先生の指導を受けようと決心した18歳。
あれから40年。あの頃の情熱は今も少しも色褪せず、良い布団を作って、皆様に喜んでいただく!そんな気持ちでこれからも丹精こめた手作り布団を作りたいと思います。
